通り過ぎ、彼女が見えなくなって数分。

…ハッとした私は足を止めた。

・・・

彼女だ。

・・・

私がここで好きになった想い人。

あの香りが懐かしく感じたのも、

どこかで見た事があるようなあの顔も。

・・・

10年の時を経て、

更に大人になった彼女。

すぐにわからないのも無理はない。

彼女と話がしたい。

そう思った瞬間、

私の足は、来た道をかけていた。

・・・

・・・

いた!

・・・

私は恥もプライドも捨て大声で叫んでいた。


「そこの君、ちょっと待って!」