「オレに対する宣戦布告か?」

窓の外に目を移したオレは、

静かに告げた。

・・・

「宣戦布告?そんな大そうなものじゃないよ。

オレには何にもない・・・

地位も名声も何にも・・・

兄さんの下で、兄さんの助けをするくらいしか

脳がない・・・でもさ。

亜紀は、亜紀だけは、

この手で幸せにしたいと思える人なんだ。

兄さんはすべて手にしてる・・・

だから、ただのわがままかもしれないけど、

亜紀だけは何としても手に入れたい。

兄さんが、なぜ突然亜紀を秘書にしたのか、

オレには分からない・・・

兄さんだって、亜紀の事好きなのかもしれない。

だからこそ、今、ちゃんと、

オレの気持ちを言っておきたかった」



「・・・」

何も、言葉が出なかった。

本気。

そんなもんじゃない。

オレはただ、想い人と重ねて、

亜紀を見てるに過ぎない・・・