「将来、私の娘と、いいご縁があったら、

嫁にもらってやってください・・・て。

お父さん、そう言ったそうなの・・・

その娘がまさか、私だったなんて、

夢にも思わなかったって・・・

私と宗吾さんは、10年前にも会った事があったの。

こんな偶然、もう、運命だとしか言えない。

きっとお父さんが、

私と宗吾さんを、引き合わせてくれたとしか思えないの」


・・・

言いたい事、伝えたい事はすべて言った。

後は母が、どういう答えを出すか、

黙って見守るほかない・・・


「・・・亜紀」

「・・・ん」


「あの人が亡くなって10年・・・

今までずっと白鳥を憎んできたの・・・

亜紀の気持ちもよくわかる・・・でもね?

ママに、少しだけ、考える時間を頂戴」


「…お母さん」


困った顔で笑った母。

「ごめんなさいね・・・

どうしようもない母親で・・・」

その言葉に、何度も首を振って見せた。