「兄さんの、そのギャップがいいんでしょうね」


「・・・?」

意味が分からなくて、

光司をただ見つめた。

…光司は、

クスクスと笑い、


「早く行かないと、

前原さんが待ちくたびれてますよ」


「・・・そうだな」

・・・

もう一度礼を言った私は、

亜紀の家の前に来た。

玄関のチャイムを鳴らしたが反応がなく、

ドアに触れると、

音もなく、ドアが開いた。


「…不用心だな」

そんな事を呟きながら、

でも、亜紀が気になり、中に入っていく。

リビングで、足が止まった。

・・・亜紀がソファーの上で、

丸まって居眠りしていた。

その寝顔は、あまりに無防備で、

そっと横に座った。

顔を優しく撫でると、

夢見心地の亜紀が目を覚ました。