「う~ん・・・

その頃は、兄さんがまだ

社長になったばかりの頃ですね?

私も、まだ他の部署を転々として、

仕事を覚えてた頃なので・・・

でも、冷酷だと言われてる人だけど、

人を蹴落とすような、そんな人じゃありませんよ。

兄さんが社長になったばかりの頃は、

まだうちの会長が実権を握ってたし、

そこに何かがあるんではないかと・・・」

そう言った光司は優しい微笑みを浮かべた。

・・・

「・・・」

私は黙ったまま、

不安で一杯で、涙をためて、光司を見つめた。

そんな私の瞳にそっと触れた。


「泣かないでください?

真実はまだわかっていない・・・

兄さんに直接聞いてみてはどうですか?」


「…話して、くれるでしょうか?」

「大事な事です。

愛するあなたのお父さんの事なんですから、

きっと話してくれると思いますよ」