黙ったまま、

宗吾の声に耳を傾ける。

・・・

目を瞑り、抱きしめられたまま、

その声を心の奥底まで、辿り着かせた。

「・・・前原?」

・・・

何も言わない私を、

心配そうな表情で見つめる宗吾。

・・・

何で気が付かなかったんだろう?

10年前とは声質は変わっているが、

確かの宗吾と同じ声。

・・・

庭園に来ると、

宗吾を見つけると、必ずと言っていいほど、

声をかけた。

もちろん、自分から。

宗吾となんでもいいから、

話しがしたくて・・・