「・・・・コドモの写真とか、ないの??」
「・・・・あるけど・・・・」
「見せて」
オレが携帯の中の写真を探している時だった。
何気なくお茶を啜った由紀が『ゴホゴホッッ』と尋常じゃない苦しみ方をしながらむせた。
「由紀!! ・・・・救急車!!」
電話をかけようとするオレの手を由紀が止めた。
「・・・・かわいいね、この子は確実に美人さんになるよ・・・・」
由紀が肩で息をしながら、携帯に写る娘の写真を覗きこんだ。
「・・・・ありがとう。 それより由紀、大丈夫なのかよ」
「・・・・うん。 なんか最近、咳き込み方がわざとらしいくらい大袈裟になっちゃって・・・・」
そう言って由紀は、オレの娘の写真をみながら少し涙ぐんだ。
『むせすぎた』と言いながら、由紀はティッシュで目頭を押さえていたけど、違う。
由紀は子供が好きだった。
由紀だって、結婚して、子供を産みたかったんだろう。
オレは、由紀の夢を破って丸めて捨てて
別な女と叶えてしまった。



