汐見はゆっくりと顔をあげた。 「いえ、何も聞いてません」 「お、俺も特には……」と汐見の言葉に続く。 特に勝俣さんの表情に変化は見当たらない、何としてでもこの場はやり過ごしたいところだ。 「そうか、それじゃ仕方ないね。じゃあ次は逆に野口君と杉森さんの死体のことについて僕が話すから、聞いてもらえるかな?」