野口の死から始まった一日、これが夢だったらどんなに嬉しいか。
自分の頬を叩いてみた――痛みがある、これは夢なんかじゃない。


《これは現実だ》と、誰かがそう言ってるようでならない。


「もうすぐ着くよお兄さん。色々と大変だと思うけど……頑張りなよ」


「は、はい……」


タクシーの運転手はそう声をかけてくれた。
目の前には霧島高校が見えてきた、俺はカバンから財布を出す。