「お願いします!どうしても急いでるんです!」 「それは無理だよ、タクシーを止めたのは私なんだから」 淡々とした口調で喋る会社員を俺は歯をギリギリと噛み締めて睨む。 必然的に両手には拳が作られていた。 「お願いします!僕の友達が自殺してしまって……どうしてもすぐに学校に行かなければならないんです」 「……そんなこと言われても、う~ん。仕方ないな、私は特に急ぎでもないから君に譲るよ」 「あ、ありがとうございます!」