汐見は倒れている俺に歩み寄るとノートから切り取ったような紙を一枚見せてくれた。


そこには数十人程の名前、その横には丁寧に住所まで記載されていた。


「アサシン……それが勝俣が作った殺人組織なの。勿論、私もその一人よ」


「それは分かった……!でも何故勝俣を殺したんだよ!?」


その問いに汐見は答えてはくれなかった、汐見はそのまま紙切れを俺のズボンのポケットに忍ばせた。


「真琴君。勝俣は私が殺した。それを今見たよね?そしてさっき貴方の腕を縛ったのも私。私は一人だけ自由、でも手には拳銃が握られている。これで言いたいこと分かる?」


「……な、なんだよ!?」


「拳銃、愛する人の世界に行けるチケット……同時に私の存在を抹消するチケット……」


汐見は勝俣の罪を自分で背負うつもりだった。


「待てよ!何でそこまでしてお前一人で罪を背負うんだよ!?」


俺は知らなかった。
汐見の過去を。


「勝俣を壊したのは私。優しかった勝俣を壊したのは狂っていた私なの」


俺は知らなかった。
44チャンネル、それはまだ誠実だった勝俣の轢き逃げから始まったことも。