勝俣は笑いながら私の両手に縛られた縄を解き、そのまま車へと乗るように命じられた。

ナイフだあるならば刺し殺してやりたい。
だけど、今の私にはそんな勇気も気力もなかった。


戸田原遊園地を離れ、戸田原市内へと戻ってきた私は勝俣に目立たない場所で待機するように命じられた。


この暑い日差しも今の私には何も感じることは出来ない。
絶望感だけが襲い掛かる、世間では死んだことになっている私はこの先どうなるんだろう。


「曽野宮君……生きてるんだよね?どこかで生きてるんだよね?」


空に放った言葉が雲に届いたとしても、曽野宮君には届かないだろう。

謝りたい、私の犯してきた全ての罪を。
私に勝俣を止める勇気さえあればこんな未来にはならなかったのに。


そんなことを考えていると私の携帯が鳴った、勝俣からのメールだ。

『予定通り五月雨真琴に接触に成功。集合場所はまた後で教える』


そのメールが来てから数分後、勝俣から場所を載せたメールが届いた。
私が待機している場所からそう遠くない。


何も考えず、何も感じることもなく、言われるがままに私はそのレストランへと向かった。