僅か十分足らずで俺は山から脱出することに成功した。
山の入り口にいた警察は幸運にも捜索場所を変えたのか、少し離れた場所まで移動していた。

「はあ……」

極度の緊張状態から解放された俺は大きく息を吐いて空を見上げた。

山の目の前には小さな川が流れていて周りは田んぼだらけ、典型的な田舎の風景だ。

そしてこの川沿いに俺の通う戸田原(とだはら)高校はある。
大体歩いて十五分くらいで着くだろうか。

だけど今日は学校に行っている場合ではない。
俺はポケットから紙切れを取り出した。