曽野宮を背にして俺は洞窟の外へと歩き出した。
次々と蘇る曽野宮との思い出が時々足を止める、そのたびに歯を強くかみ締めてはまた歩き出す。

「真琴」

「……え?」

その時、確かに後ろから曽野宮の声が聞こえた。

「曽野宮なのか!?」

懐中電灯を手に勢いよく振り返った。
だけどそこに曽野宮の姿なんてなかった。
どこか岩の隙間から水滴が落ちる音だけが響いているだけ。

(曽野宮……)

再び溢れそうになる涙を手で拭い、俺は洞窟の外へと向かった。