「……曽野宮!」

曽野宮の両肩をグッと持ち、前後に揺らす。
だけど曽野宮が目を覚ますことはなかった。

胸に刺さった包丁は真っ赤に染まり、そこから流れていたであろう血が曽野宮の衣服も真っ赤に染めてしまっている。

「……どうしてだよ。どうしてお前がこんなことになってるんだよ!?曽野宮ああ!」

届くことのない叫びが虚しく洞窟内に響く。
まるで寝ているようなその死に顔は、確かに俺の知っている曽野宮だ。
目から溢れた涙が雫となり、地面で弾けた。