ひまわりの涙

春仁に呼ばれていることもスッカリ忘れ今を存分に楽しんでいた。


こんなウキウキした気分はどれくらいぶりか…


「これは俺からプレゼント。喜んでもらえて嬉しいよ」


「司さん、ありがとう…」


司は複雑だった。確かにこれは自分からのプレゼントでもあるが、ここを所有しているのは春仁。


この桜草も、春仁がいつか鞠乃に見せたいとズット育ててきていたのだ。


いったいいつまでこの兄妹は運命に翻弄され続けるのか…


「司さん?そろそろ行かないとお兄様がおこるわ…」


いままでの楽しそうな表情とは裏腹に一気に暗い表情になった。


春仁はこの事をしっている。鏡が呼びに来るの合図にここへと連れてくる手はずになっていた。


その間に春仁の婚約発表を行う。


時計を見ると30分が経っていたが、最低でも1時間は必要だ。


「鞠乃、春仁には連絡してあるからもう少しここで秘密の時間を楽しもう。あそこのテーブルに食べ物も用意してあるんだ」


鞠乃の手を引き連れて行く。


「でも…怒ってたら…」


「大丈夫だよ。俺がちゃんと責任もつから。さあ、お嬢様、飲み物は何をお持ちしましょうか?」


おどけて言う司に笑みが漏れた。


「じゃ、オレンジジュースを。クスクス」


「かしこまりました。今お持ちします」


司はお辞儀をするとすぐ側の扉から外へと出た。