そのせいか前から歩いてくる女性に気が付がずぶつかってしまう。


ドン！！


「キャッ！」


ぶつかった女性はよろめいて側にいた男性に抱き抱えられる。


「ごめんなさい！」


「君！ちゃんと見て歩かないとダメじゃないか！」


女性をかばった男性が声を荒げてくる。


「失礼いたしました。私の連れが申し訳ないことを。そちらの女性は大丈夫だしたか？」


とっさに司か間に入ってくれた。


私は司の背の後ろから女性をみると、そこには大女優の朝比奈麗子本人が支えられている。


「ちょっと、気をつけてちょう……あれ？天田司さん？」


朝比奈麗子は司をジッと見ると、今まで怒っていたのが一瞬にして満面の笑顔になった。


「あなた天田総合病院の天田司さんでしょう？一度あなたに診ていただいたのよ」


女性の顔は獲物でも狙うかのような怪しい笑みになっていく。


ただ普通と違うのは美しさからその怪しい笑みも色っぽく見えること。


私は司の表情をみようとしたが、真後ろに居るためにみえない。


司さん大丈夫だろうか…


私の心配をよそに、司は軽快な声根で話し出した。