寝起きの頭には兄を追いかけて詳しく問いつめる機転もきかなかった。

いや、寝起きじゃなくても問いつめるなんて出来ない…

明日になれば分かる。

兄の言うとおりに動いていればいいんだから…

フラフラとベッドに行き横になると直ぐに眠りについてしまった。






部屋を出た春仁はよりいっそう厳しい顔付きで廊下を歩いていた。

久しぶりに見た妹の寝顔。

久しぶり入った妹の部屋。

あの部屋から見る景色を春仁も好きだった。

あの頃が一番楽しかった…

幼い2人が噴水の中に入って鯉淵から隠れたことや、禁止だった木登りをして鞠乃が降りられなくなり大泣きしたこと…

フッと笑みが漏れた。

「何一人でニヤツいてんだよ」

気が付けば部屋の前にきており、そのドアにもたれるように司がたっていた。

「きてたのか…」

さっきの笑みはどこへやらいつもの顔付きで部屋へとはいっていった。