どれくらい時間が経ったのか分からないけど、神城家の敷地内に入ったのは分かる。

道の両脇に桜の木が植えてあり、この先に家へ繋がる門が現れる。

春になれば満開の桜達が出迎えてくれる。

なにも知らない幼い頃はこの道が大好きだった。

今は大好きと言えるほどに気持ちの余裕はなかったが。

幼い頃を考えていると、車のスピードが落ちてきて門が近いことを知らせてくれる。

しかし止まることはなく、そのまま中に入れた。

あらかじめ連絡して置いたのであろう事はわかった。

門をくぐれば一面平野で芝生が敷き詰められている。

ここからはプラタナスの木達が出迎えてくれる。

生き生きとした大きな葉達が羨ましく思えてきた。

これから一体何が始まるのか…

木の陰から建物が見えてくる。

お城と間違えるような真っ白な洋館。

入り口は数段の階段に両開きの大きなドア。

そこには見知った2人の人物が立っていた。