司さんには隠し事は出来ないなぁ。

涙が一滴落ちた。

「大丈夫。私は平気。こうして司さんに会えて良かった。」

司の腕から逃れるように振り返る。

きっと今までこんなに笑顔になったことないくらいの笑顔を向けた。

司はそんな鞠乃の笑顔をみて不安を覚えた。

綺麗すぎて…

儚すぎて…

壊れそうで…

消えていなくなりそうで…

その笑顔を向けた鞠乃は背中を向けて歩き出していた。

「知ってるか?鞠乃?ずっと君のこと愛していたんだ…」

司はその後ろ姿に小さくつぶやいた。



背をむけて歩きだした鞠乃は周りのことなんて見えてなかった。

ただ流れる涙をそのままにただ、ただ、歩いていた。

会わなければよかった…

人の温もりなんて求めちゃいけない…

一人で生きてくと誓ったんだから…