「有紗のこと、教えてくれない?」

俺が真剣に聞きだすと、

「いいよ」

と答えてくれた。

「あたし、前、彼氏いたんだ。だけど別れた。理由は彼の浮気。街で歩いてたらちょうど見ちゃって・・・。だから彼に言ったんだ。そしたら急に態度が冷たくなって・・・。あたしが浮気の理由を聞き出したら、『お前が浮気相手だ』って言って家を出てった。もう意味わかんなくなちゃって・・・男が信じられなくなった・・・」

俺は胸が痛んだ。

俺は今まで同時に色んな女と付き合ってきたけど

それを女は知るたび、傷ついていたのかも・・・。

「あと、別れる時、言われたんだ。『お前みたいな凶暴な女、最悪だ』って・・・。あたしだって好きでこんな性格じゃないのに・・・。あたし兄弟が男ばっかでさ。周りが男の中で育ってきたから、口悪いし、すぐ暴力ふるし・・・。」

「俺は、凶暴な有紗、良いと思うよ!人それぞれなんだし!逆に有紗が女らしくなったら気持ち悪いよ!」

俺がそう言うと有紗はビックリした顔で見てきた。

「気持ち悪いって何だ!馬鹿」

そう言って俺の頭を叩いた。

有紗は怒っていたけど俺は気づいた。

小さな声で、

「ありがとう」

って言ったことを。


俺達の距離、縮まったかな・・・?