窓を開けると、涼しい夜風と一緒に星の光も入ってくる。

時計はもう零時を回ったというのに、私はなかなか眠れなくてずっと外を眺めていた。



「何やってんのかなぁ、一樹」



昨日も今日も、遅くまで電気がついている一樹の部屋。

ほんの少し開いた窓の隙間から入る風で、カーテンが微かに揺れている。



「すぐそこなのになんだか遠いよ」



よくわからないけど、こんな風に一樹の部屋を眺めてるとギューッと辛くなって。

屋根を飛び越えればいつでも話せるのに、それができなくなってるのがなんだか寂しい。



いやだな、こんなの。




一緒にいるのが当たり前すぎて、こうやって距離ができてみないと気が付けないことがたくさんある。



いつでも一緒に笑えるから。
いつでも一緒にふざけられるから。

だから、幼なじみのままでも構わないって思ってた。



でも、
もうそれだけじゃダメになってて。

私の気持ちは、そんなんじゃ抱えきれなくなってて。




一樹……明日ちゃんと謝るから。

それと、ずっと想ってたことも伝えるから。

だから……





私はそのまま
沈むような眠りに落ちた。

眩しい日差しと、鳥の声と、イチゴの香りで目が覚めるまで、

ずっと深く眠っていたのだ。