「送るよ。一緒に帰ろ?」
「へっ?…いや、私のことは大丈夫だよ?合コン楽しんどきなよ…」
「いーのっ。女の子ひとりで帰させらんないし!」
いこっ、と広斗くんが私の腕を取って部屋の外に出る。
バタンッと勢いよく閉まるドアの音がフロアによく響いた。
「あ、あの!ほんとに私のことはいいから…」
「いーってば。ほら、帰ろ?」
「…あ、待って!」
すたすたと一直線に入り口に向かっていく広斗くんを小走りで追いかける。
後ろから「ありがとうございましたー」と呑気な店員の声も聞こえた。
あっという間に外に出た広斗くんを追いかけて私も外に。
みんなに何も言わずに出てきちゃったよ…。
「あははー脱出成功っ」
ぐーっと背伸びをしながら、広斗くん。
だ、脱出って。
「ひとまず抜け出したことだしさ、帰ろ?陽菜ちゃん家どっち?」
「あ、こっち…」
「よーし。じゃあ帰ろーっ」
って、結局広斗くんのペースに呑まれて家の方面答えちゃったし。

