「陽菜ちゃん…!」


振り返ると、ドアが開いたままそこに立っている雄くんがいて。

え、うそ。なんで雄くんが…?


「雄…くん…」


「…あ、じゃあ俺もう行くね。お大事に」


菊池くんは気をつかったのかわからないけど、保健室を出ていって。


通りすがりに雄くんと菊池くんが心なしか睨み合っていたような気がした。



「…陽菜ちゃん大丈夫?春ちゃんから怪我したって聞いて…」


ずっとドアの所に立っていただけの雄くんがこちらに来て、もうひとつの丸イスに腰掛けた。


「あ…うん。もう平気だよ」


若葉め…言ったのか。


「うー…痛そう」


雄くんが、先ほど菊池くんが触った頬っぺたをまた触る。


「あははっ」

「…なんで笑うの?」

「いや…さっきも菊池くんそこ触ったからさ。そんなに痛そうに見えるのかなって」


私がそう話すと、雄くんの手が頬っぺたから離された。