玄関まで行くと

「ひーなちゃんー」

と、ドア越しから私を呼ぶ声がする。


「いまいくー!」


一応返事をしておいたけど、ローファーが踵にくい込んでなかなか履けず。

くそう、こんな日に限って。

そこで目に入ったお父さんの靴べら。


…いいよね、使っても。


「お。履けた」


靴べらを使ったらすっぽり入った。