翌日。
私は自分という人間を心のそこら疑った。
つい何分か前に会った男の子(高校生)を自宅に平気で招き入れ、あろうことか今目の前で朝食をとらせている。


断じて、変なことはしていません。


ただ…


昨日_

「ちょっ!ちょっと!大丈夫ですか?!」

倒れた彼の肩を揺すり、なんとかしようにも軽いパニックを起こした私は頭をかきむしりただただ「起きてよー!」と声を掛け続けた。

「うるさい」

気だるげな声で「風呂にはいりたい」と言ったのだ。

私は血迷って「わかった!わかったから起きよう」と自宅へ。





私の頭はどうやらかなりヤバイらしい。

彼の「~したい」という弱々しい発言に、ころっとやられてしまい。
今は「ご飯食べたい」という要求を消化中である。

「…」

無言に無表情でもぐもぐと、焼き魚を食べる男の子。
マロン色の癖っ毛に、色白のたれ目に右目に泣きぼくろ。すらりとした身長に、猫のような気ままさ。

これが只今の彼に対するデータだ。

「キミさぁ…学校は?」

「カレンダー」

ちらっと壁に掛かっていたカレンダーを見やり、味噌汁をズズッと啜った。
ああ土曜日か…


「はっ!」

バイト!
私はいつもの鞄をひっつかみ立ち上がった。

「17時には戻るから!」


このセリフに違和感を覚え、やっちまったと頭を抱えたのは、出勤して1時間たった頃だった。