明隆:「えっと…ごめんね。俺がもっと早く気付いとったらこんな事にはならんかったかもしれんのに。それからありがとう。キミにはいろいろ大切なモノを教えてもろた。」
安居:「私、何もしてないよ?」
あの頃の安居でも同じ事を言っていただろう。
俺は笑顔をつくりながら頭を撫でた。
明隆:「ええねん。俺は嬉しかったから。変な事言ってごめんね。」
安居:「あっ…」
頭を撫でてる俺の手をとり、ぼそりと呟く。
安居:「懐かしい感じ。何処かで会った?」
透き通った純粋な目で俺を見つめ、思いだそうとしていた。
明隆:「気のせいやろ。キミは何も知らない。何も考えないでええねん。じゃあ、俺は行くな!」
安居に背を向け、ドアに向かって歩く。
一歩歩く度に涙が頬をつたって床に落ちる。
もう、振り向く事は出来ない。
そして、もう会う事もないだろう。