マンションの右側を慎重に進む。
後ろポケットに入れてある愛用のグローブ(拳に鉄が使用されている手袋)に手を付け、いつでも取り出せる準備をしながら。

マンション右側、中間地点に差し掛かった時、後ろから人の気配を感じた。
俺は素早く振り返る。
するとそこにはキツネの面を付けたストーカー二人がナイフをちらつかせこっちにやってくる。
奴等はナイフを両手に持っていたが、キンキン音を立てるだけで襲いかかってくる様子はない。
奴等に腹を向け、後退りつつ間合いをとった。
その時、マンション横に設置してある非常用階段のドアが開き、キツネの面をした奴がもう二人現れた。
明隆：「クソ。隠れていやがったのか…。」
俺は目の前の二人に気を取られ、非常用階段に潜んでいた奴等に気付けず、挙句の果てに囲まれてしまった。
しかも４人ともナイフを持っている。

囲まれてから気付いた。
ナイフを鳴らしていたのは仲間に距離を教える為だと…。