気付けば日が沈み、月がぼんやりと足元を照らしている。
明隆:「あっ、小屋だ。二手に別れるぞ。」
安居:「分かった。じゃあ、後でね。」
どこから見ても壊し忘れにしか見えない小屋だった。
こんな所に人が居るとは思えない。

俺らは携帯を握り締め、小屋を囲むよう左右に別れた。
静まり返った室内に違和感を感じ、割れた窓から覗き込む。
明隆:「ん?誰もいねぇ。」
荒れた部屋には人の気配がなかった。
俺は気にせず足を進めた。
小屋の角を曲がると、穴だらけのドアが開いており、中から複数の人声が漏れている。
???:「どうする?」
???:「遊んでやるか?」
???:「おい!今、“カシラ”から連絡あって、もう一匹居るってよ。イヒヒヒッ!」
俺はすぐに分かった。
ドアを気付かれないよう慎重に閉めながら、ドアにあいている穴から中の様子を伺う。
人数は5人、捕まった安居を除けば4人。
そう、さっきの会話は捕まえた安居をどうするかを話し合っていたのだ。
奴等は安居を黄色と黒色のロープで縛りあげ、頑丈そうなパイプにくくりつけるともう一つある反対側のドアから勢いよく飛び出して行った。