私ももう28になった。
同僚や旧友が次々と家庭を持ち、
正直、焦り始めていた。
だけれど、
カレを失うのが怖かった。
自分でも薄々わかっていた。
きっと、たぶん、私のコレはもう
恋愛感情ではなく
ただの執着心、なのだと。
「恵さ…秋田、先輩。
いい加減、目を覚まして下さい。
僕も27になりました。
母から見合いも勧められてて…
恵さんが、
あの人を忘れられなくても
俺が忘れさせますから…
俺が、幸せにしますから。
僕を、俺を選んでくれ、恵――」
わかってるんだって。
だからさ、佐藤くん。
追い討ちかけるようなこと、
言わないでよ―――。
「………少し、時間を頂戴。」


