一歩【完】




翌日から、

私は佐藤くんと出社した。




すると数日で、


社内でこの話は
みるみる広がっていった。





「恵!ついに佐藤くんと!?」

「ついにって何よ、あはは」



「おいおい佐藤!
どーやって秋田先輩を…!」

「ばーか、最後に愛は勝つんだよ」





すぐに、あの人にも伝わった。





「あ…秋田くん、

話は聞いてるよ、おめでとう…」





私の左手の薬指には、指輪。





「………お陰様で」







あなたが、くれなかった



唯一のもの。





「秋田、くん…
こんな時にすまないが、


少し…話したい。



何もしないし、本当に最後に…」





あなたは私と別れてから、

少しやつれた。




「………夜で、いいですか?」


「…ああ。ありがとう。」







私はあなたと別れてから……?