一歩【完】




「…あ、はは…

これで、よかった―――」





部屋に戻った途端、

抑えていた感情が溢れ出した。




「…全部、万々歳…。

…ハッピー…エンド…っ…」





目が熱い。

胸が痛い。

息が苦しい。





「…ぅ、ウソ…ばっか、り…」



愛してた、愛してた、愛してる。





「うっ、く…うぅ…っ」



涙が止まらなかった。





嘘の吐けない、バカな私。










プルルル、プルルル、プ、ガチャ


『もしもし…?』



無気力なまま、電話をかけた先は





「佐藤、くん…」


『先輩、泣いてたんですか…?』



「今から会える?」


『もちろん、大丈夫です』





佐藤くん、


君の愛した女が

こんな狡くて汚い女で、





―――…ごめんね。