「Ryo、一言」
「君たちSHADEの最後のメンバーが居るから、
光をくれるから、俺たちは何処までも走り続けられる。
今日は有難うございました」
そう言って、ステージ側に深くお辞儀をするRyo。
「んじゃ、最後。
何時ものヤツ行こうか。
隣の奴とくっついて、手を取り合ってくれ」
促されるままに、見ず知らず人たちと繋がっていく
手と手の繋がり。
「せーの」
琢也さんのコールの後、全員がメンバーと
同じように両手を振り上げてジャンプした。
拍手に包まれる会場内。
会場内にはLIVEの演奏で耳にした曲のインストが
ゆっくりと流れていた。
「お疲れ様でした」
隣に居たファンの人たち同士も、
メンバーがステージから消えた途端に、
お互いの共有した時間を労いあうように声をかけていく。
「おっ、お疲れ様でした」
駆け抜けたステージが終わった頃には、
心地よい疲労感。
余韻も残ったまま、帰り際にちゃっかり、
SHADEのCDを購入して帰宅する。
夢のような時間は過ぎていくのも早くて。
翌日、晃穂に見送られて昂燿校へと向かった。
次に逢えるのは、夏休み。
もっと上手くなりたい。
次に逢える時は、『上手くなってんじゃん』なんて
可愛げなくアイツが呟いてくれるほどに。



