DTVTって何だよ?


疑問の中の会話は続き、緊張から解放されたのは最高総がホールから出た頃。
オレのデューティーは、裕最高総の楽器を受け取って一緒に建物を出て行った。


後ろ姿から二人は何かを話しているような
そんな雰囲気が感じて取れた。




「さぁ、紀天。
 貴方はどうなさいますか?

 竣佑は裕さまのお供で少し離れました。
 
 私は国臣たちの待つ、
 DTVTのレッスン室へと参りますが……」 
 

「DTVT?」


「えぇ、私や竣祐が所属している楽団の名前です。
 ですが……紀天はオーケストラ的ではありませんね」


苦笑するように、微笑む高臣さん。



すげー酷いこと言われてるはずなのに、
確かにオレがバイオリンやフルート吹いたりしてる姿は
想像しても似合わねぇよな。




「あぁ、確か今日は智早が練習していたかも知れません」



そう紡ぐと高臣さんはオレを誘導するように
その部屋へと案内した。



廊下から眺めるガラス戸越しの練習風景。



両手足が観音様のようにバタバタと動く。


そのフォームが美しくて、
オレはじっと魅了されてしまう。


一通り叩き終えた中の人は、
飲み物を口にしながら、汗を拭っていた。



「紀天?」


高臣さんが一度、オレを覗いた後は
ガチャリとそのガラス戸を開けていく。




「KINGスタジオお借りしています」

「また技に磨きがかかりましたね」

「いえっ。

 オレばかりがどれだけ練習しても一緒にやるメンツが
 見つからなければ音楽にはなりませんから」

「夢を叶えるメンバーを見つけるのは
 大変な事ですね。

 応援していますよ、智【とも】」



高臣さんは、親しげにその人と話し始めた。