「KINGの紺野です。
メイトロン、瑠璃垣伊吹の届け出はありますか?
わかりました。
有難うございます」
そう言うとKINGはやんわりと微笑んで告げた。
「伊吹は家の者が迎えに来て、
学院に届を出して、家の用事で帰宅したそうです」
そう返された言葉にほっとするような、
寂しさを感じるような。
「あっ、有難うございます。
では、オレは……」
一礼して、その場を後にしようとした時、
竣祐さんからの突然の誘い。
「紀天、少し時間いいかな?」
その言葉は、上の人独特のノーとは言わせない
雰囲気が醸し出されていて、オレはゆっくりと頷いた。
「高臣、紀天もいいかな?
少し解放してやらないと
紀天、今日は授業がないからね。
思う存分、時間は得られる。
ついておいで」
解放?
何を?
わけがわからないままに、
竣祐さんと高臣さんの後をついて行った先の建物へと入っていく。
「ここは昂燿の音楽スタジオだよ。
ここにある楽器は、
どれも好きに使ってくれていい」
一階のエントランスホールには、
楽器を手にした制服姿の学生たちが集う。
「高臣、竣佑」
突然、声をかけてきたその人に、
慌てて生徒総会のメンバーは膝を折る。
学院の風習に習って、オレも慌ててその場に膝を折る。
それは一斉に、周囲に居た生徒たちも楽器を置いて膝を折っていく。
……裕最高総……グラン・デューティ-。
伊舎堂裕【いさどうゆたか】と学院最高総。
現在、神前悧羅学院に三校の生徒のトップに立つ雲上人。
悧羅校時代、裕最高総の弟であられる裕真さまにはデューティー光輝の知人と言う関係で、
何度も会話をする機会はあったが思わぬ人物の登場に驚き隠せない。
「裕最高総」
「次のDTVTの公演は?」
「現在、調整中です。
宝珠とも次回公演の件は話しあっているのですが
スケジュールの調整が難しくて」
「そうですか。
理事長の紫さまと、理事会の紫音さまがDTVTの活動を身近で見守りたいと仰せでした」
「有難うございます。
裕最高総がセッティングしてくださるタイミングで見学頂けるように手はずを整えます」
緊張のままやりとりが続く会話。



