えっ?




何で……、なんでアイツが生徒総会の中に居るのよ。



そりゃ、悧羅校に居た時もアイツのデューティーの光輝さまは、
生徒総会メンバーで、アイツもずっと手伝ってたけど今は昂燿。




アイツは一般生徒になってると思ってた。





光輝さまにも親しげに会話しながら、
自分が一緒に来た、昂燿校の仲間たちと楽しそうに会話しながら
人によって作られた花道を歩いて行くアイツ。




アイツの後ろには、可愛くなさそうな表情のない子が
付き従う。




何?
アイツのジュニア?





ちょっと、紀天っ!!
少しくらいこっち向きなさいよ。



ほらっ、こんなに近くに居るのに。



後、数歩前に出たら腕に触れそうな距離なのに、
アイツは一度も私の方をみない。





無視なんてありえなくない?




こんなことだったら、もっと早く宝珠様の傍に手伝いに戻ってたら良かった。
そうしたら、私もあの輪の中に身を寄せることが出来たのに。


今の私は、花道の外の住人。


この場所から、あの輪の中に入っていく勇気なんてない。



悲しいやら、怒りやら心の中に渦巻くものが大きくなりすぎて
逃げ出すように、その花道から人が少ない場所へと走り去った。




髪につけたコサージュも、
せっかく買って貰った私の一張羅もすでにボロボロ。



惨めさだけが強くなって手袋を外した両手で拳を作って、
壁におりゃ、おりゃーっと気合を込めて八つ当たり。



楽しみにしてたのに、
あまりにも惨めすぎるよ。





「晃穂、何してるの?
 やめなさい」



そう言って壁に打ち付ける拳をガシっととめるのは智海。



「智海……」

「ほらっ、ジュニアの優愛が探してた。
泣きそうになってたわよ。

 生徒総会のメンバー合流するんでしょ。

 優愛と一緒にデューティの元へ行かなくていいの?
 こんなに手の甲から血が滲むまで何してんのよ」