「晃穂、私は先に生徒総会の準備に向かうわね。
 貴方は、ここでもう少し紀天君を捜しなさい。

 逢えたら、私の手伝いを」


そう言うと宝珠様は、
ドレスの裾をたなびかせ乍ら優雅に会場の方へと歩き始めた。

宝珠様の背中を見送って、再びロータリーへと視線を戻す。


迎賓館のホール前に次々と停車してはおろしていく
生徒たちの波をじっと見つめる。





鞄の中から携帯電話を取り出して、
メールを打つ。


*

To:紀天


久しぶり。

今日の学院祭、久しぶりの悧羅じゃん。
逢えるの楽しみにしてる。

今、迎賓館前のロータリーにいるの。


晃穂






送信。




送信の完了を確認して、暫く携帯電話を握りしめながら返事を待ち続ける。



バスは次から次へとロータリーに入って来ては、生徒をおろしていくものの
まだアイツの姿は見つけられない。


30分過ぎても、アイツからの返事はない。


人、人、人の波に紀天が見つけられないまま、
バスを見送っていく。



ふいに一斉、黄色い歓声があがる。


到着した車両を見つめると、
そこには昂燿校の校章。


私も慌てて、そのバスの方へと駆けていく。


人ごみをかきわけるように、
強引に前に割り込む私。


昂燿校のバスの隣には、海神校のバスも停車していて
悧羅校の生徒総会メンバーが出迎えてる。




なんだぁー、生徒総会勢揃いなんだ。




半ば脱力したようにボーっと見つめていると、
バスの中から出てくるアイツ。