優歩さんとお付きのスタッフさんによって、
まずは短い髪を整えて、文金高島田のかつらが被りやすいように下準備をされる。
その後は、かつらを被って角隠しと呼ばれる形にして貰ってメイク。
メイクの後は、別のスタッフさんも増えて白無垢を着るために
準備を始めていく。
幾重にも巻かれる、綿やらタオル、晒しで補正されながら
着つけられていく白無垢。
着慣れない着物に戸惑いながらも、鏡に映る自身が信じられなくて
ただなされるがまま、体を委ねる。
するとノックがされて、黒留袖姿の母さんが姿を見せた。
「今日は宜しくお願いします。
晃穂、綺麗ね」
そう言いながら嬉しそうに目を細めた。
「こちらの白無垢はお母様の手作りだそうですね。
晃穂さん、本当にお綺麗ですよ」
そう言いながら、長襦袢・掛下と着つけられた私は帯を締めて貰ってる。
そして最後に白無垢を羽織らせて貰って私はゆっくりと用意された椅子に腰かけた。
控室で暫く待っていると、モーニングに袖を通した父さんも姿を見せた。
「お父さん、晃穂の花嫁姿綺麗ですね」
「あぁ」
その後は、お母さんに介添えして貰って
白無垢を歩きやすいように抱えるとゆっくりと控室を後にする。
真っ赤な絨毯の上を歩くと、紋付を着た紀天が姿を見せる。
「おぉ、晃穂。綺麗じゃん」
そう声をかけると、母さんからアイツに介添えをかえて
写真撮影に出掛ける。
親族だけの挙式と言うことで、廣瀬家と絹谷家の関係者がずらりと並ぶ中、
デューティーとAnsyalのメンバーが姿を見せる。
唯一、Ansyalのメンバー席にいないのは十夜だけ。
十夜は廣瀬尊夜として正装して参列してくれているから。



