今度は、セッションスタイルでSHADEのメンバーが、
AnsyalやIshimael・YUKIの曲たちを演奏しながら、琢也さんが歌っていく。
ちょっとしたお宝ステージ。
Ansyalのカバーが流れた途端に、隣の紀天は一気にテンションが高くなって
EIJIさんのドラムと自分のドラムを噛みしめるように考えながら楽しんでいるようで
無意識のうちに、手と足が動いているのが感じて取れた。
アンコール一回目は少し長く、カバーだけを六曲くらい演奏して消えていく。
メンバーがはけた途端に、会場内からは怒涛のアンコールとメンバーコール。
ついにはSHADEの夢追い人をファンたちが歌いながらメンバーを待ち続ける。
ステージに光が差し込むと、楽器隊がファンの歌声にあわせて演奏を重ねて
何度目かのサビの合唱を続けて、琢也さんが最初から改めて歌い始める。
終始テンションが上がりっぱなしで、終わりを迎えたLIVE。
ステージが始まってから、すでに三時間が経過していた。
大歓声の中、最後にジャンプをしてテープが飛び交ったファイナル。
お決まりのグッズやら、ピック、スティックやらをステージから投げる
メンバーのプレゼントの争奪戦。
最後の最後、「公演終了のアナウンス」が流れるまで、
ファンたちはステージを見つめながら、放心状態で見つめていた。
「晃穂、行くか……」
「うん」
紀天と二人、手を繋いで歩き出した私たち。
そんな中、会場内に帰省退場のアナウンスが鳴り響く。
アナウンスで告げられた帰省退場の内容は、
急病人が出たため、混乱を避けるために規制退場にすると言うこと。
出口に向かいながら立ち尽くすファンたちを背に、
預かっていたパスをスタッフに見せて、私たちは再び楽屋の方へと向かう。
だけどそこで見た景色は、自分自身の目を疑うものだった。
あれほどまでに、激しいステージをさっきまで繰り広げていた怜さんが倒れていて、
医療関係者らしい人が、慌ただしく処置にあたってた。
「紀天、さっきの急病人って……怜さん?」
口にしながら、不安と恐怖が押し寄せてくる。



