「雪貴行くのか?」

「お先にすいません。事務所の方が送ってくれるみたいなんで」

「わかった。
 俺も片付け終わったら駆けつける。隆雪の傍に居てやってくれ」


託実がそう言うと、雪貴は一礼して楽屋を飛び出した。


機材を車に詰め込んで会場から発信させると、
俺たちも遅れて、病院へと顔を出した。



隆雪の脳挫傷の手術は、何とか無事に終わったものの
意識が戻るかどうかはわからないと隆雪の主治医から説明があったと雪貴より聞かされた。


一日過ぎても一週間過ぎても、一ヶ月過ぎても隆雪の意識は回復することなく
病室のベッドで眠り続ける。



Ansyalとしての今後の行く末も話し合われ始めた頃、
雪貴は再び告げた。



『兄が目覚めるまで、兄の居場所は俺が守ります。

 AnsyalのTakaとして。
 だから兄の大切なAnsyalを解散させないでください』


その日から、Ansyalは……
雪貴をシークレットメンバーに加えて歩み始めた。


隆雪が戻ってくるその日まで。