大学の講義の合間に相変わらずバイトを続けながら、
紀天と過ごす時間を作り続けた私。


そんなAnsyalの次のLIVEが決まったのは、
その年の12月24日。

クリスマスイヴの夜、Ansyalメジャーデピュ1周年となる記念LIVEだった。


冬休みに入ってから、連日スタジオに缶詰めになって
準備に準備を重ねて迎えた、その日は朝から珍しく雪が降り続けていた。



朝、ベッドから這い出してカーテンを開けると
一面、真っ白な雪化粧で、外はまだ雪が降り続けていた。



窓を開けて、寒空にそっと手を伸ばす。
掌にふんわりと舞い降りた雪が体温で溶けていく。


深呼吸して伸びをすると真っ白な息が空気に溶けていった。





おはよう、紀天。
いよいよ、今日だね。

今日のLIVE、雪だけどやるのかな?


晃穂




送信。




泊まり込みの紀天は、相変わらず忙しそうで
私は窓を閉めて、朝の準備をしながらアイツにメールを送る。


いつもの様に洋服を来て、
午前中は、バイト先に顔を出して小遣い稼ぎ。


バイトを終えて、携帯電話を確認すると、宝珠さまから電話が入ってた。
リダイヤルで慌てて発信する。



「もしもし」

「お疲れ様です。アルバイトをしていましてご連絡が遅くなりました。
 絹谷です」

「ごきげんよう、晃穂。

 今日なんだけど、クリスマスイヴでしょ。
 AnsyalのLIVEの後、クリスマスパーティーをするの。
 貴女も参加しないかしら?」

「宝珠さま、ご招待有難うございます。
 ですが関係者ばかりのパーティーに、宜しいのでしょうか?」

「構わないわ。
 後、晃穂はSHADEの怜と接点があったわね」

「えっと……接点って言うほどではないですかけど、
 紀天とのデートで、SHADEのLIVEに何度かいってて
 ツアーグッズのバスタオルを頂いたくらいですけど、それが接点って言うなら……」

「ふふっ。まぁ、怜がそんなことしたのね。
 怜は私の親戚になるのよ。SHADEを解散して今は入退院を繰り返しているんだげと、
 怜の希望で、今日のLIVEに顔を出したいって連絡があったの。

 それで晃穂に怜のことを頼みたくて電話したのよ」


突然の申し出に、戸惑いも多かったけど私はそのまま了承して
雪のある街の中、ホールに向かって移動を始めた。