託実の親父さんと、裕最高総は俺たちの方に近づいてくる。
晃穂の傍に座って、
アイツの状態を確認し始める託実のお父さん。
俺の方には裕最高総が近づいてきた。
「グランデューティ、こんな場所にまで、ご迷惑おかけしてすいません」
「紀天、こういう時は素直に善意に甘えるんだよ。
ほらっ、状態確認しようか」
そう言って、グランデューティは俺の肩の様子を確認していく。
触られるたびに、痛みが走るのを顔を歪めながらやり過ごす。
「裕君、託実、晃穂さんだったかな。
彼女は大丈夫だろ。多少の擦り傷はあるが、大丈夫だろう。
腹部に暴行の後らしきものが見つかったから、
病院で念のために検査出来るように手配した」
託実のお父さんがそう言うと、
晃穂のおばさんは、秋穂に付き添うようにして先に病院に向かう。
「デューティー宗成、ご無沙汰してます。
うちの息子は?」
「睦樹、紀天は君の息子だったのか。
託実が世話になってるみたいだな」
親父ら同士も知り合いらしい会話を耳にしながら、
俺はただ居心地悪く、その場に座り続ける。
「叔父さん、問題児は紀天かも知れません。
とりあえず脱臼から整復しますか?」
「そうだな。
裕、そっち抑えてくれ。
睦樹は逆側から。
紀天君、少し動かすよ」
そう言うと託実の親父さんは、
いうことを聞かなかった、俺の腕を引きあげる。
そのまんま、親父のデューティーらしい託実の親父さんの片足は、
俺の脇の下へと差し込まれて、グイっと強い力で引っ張られる。
痛みに思わず歪めてしまう俺自身の顔。
次の瞬間、脱臼していた状態から整復されたのは
俺の意志で動かせる感覚が戻って来た。
「入った。
二人とも離れて構わないよ。」
言われるままに俺から離れていく二人。



