『あぁ、入寮の準備があるから今日にでも行くよ。

 入学式前に、もう一回帰ってくるだろうけどな。
 入学式、親も来るだろうからさ』


『そっか。
 まっ、昂燿でも頑張ってよ』




そんな言葉を交わして、
紀天を駅まで見送ることもせずに玄関で見送った。


泣いてる姿なんて見せたくなかったから。





幼い時から一緒に過ごす時間が多かった私たちなのに、
神様は……同じ時間【とき】をなかなか刻ませてくれない。




そして高等部……。




私の前に姿を見せたアイツに壊れてしまうかのように映る幼馴染に、
ただ苦しいとしか感じることが出来なかった時間。



そんな時間を乗り越えて繋がった今……。




だからこそ思うんだ。
紀天と幸せになりたい。



こんなにも思い続けることが出来る私の大切な人。





会えなかった過去も引き離された神様の試練も、
全て……今に繋がっていたのだろから。



そんな時間を懐かしみながら、
一人、静かにアルバムをめくり続けていた。