いいことは続けていきたい。


ファンマナーがいいとメンバーも活動がやりやすい。
ファンマナーが悪いとメンバーが立てるステージもまた少なくなる。

それを実感させてくれたのはRapunzelの時。


RapunzelがLIVEが出来なくなった原因はいろいろと噂されてる。

だけど私が知る中で、一番酷いと思ったのは
未成年のファンがタバコを吸ってLIVEハウス前にポイ捨て。


火事になりかけたそのLIVEハウスでRapunzelがステージをすることは二度となくなったと言う噂。


だからこそ……メンバーたちが気持ちよくステージを続ける
舞台を守るのはファンの役割だと思った。


最後のバンドメンバーだって、言いきってくれる、一人一人のファンが
一丸となってファンマナーを徹底してくれたらそれは、
Ansyalのメンバーにとってもかけがえのない財産にもなる。


そんな思いから続けている活動。



最初は一人だった私も、疎まれ続けてた私も、
何回も何回も続けているうちに、こうやって一緒に動いてくれる輪が広がっていった。



それは……この外側の世界じゃないと決して、知ることが出来ない事なんだ。



だからこそ、私はまだ裏側の世界には行けない。


時にファン反感をかっても、狂暴化したファンに囲まれても。



それでも……そうやってアイツの場所を守り続けることが
陰になった、私がアイツの為に出来る事。



汚れ役も嫌われ役も私一人でいいんだ。


自己満足かもしれないけど、それでアイツとアイツの大切な仲間が
何時でも、好きな時に好きな場所でLIVEが出来る。


そんな信用のステータスがAnsyalについたら……私たち最後のメンバーの活動は
意味あるものになるから。




だけど、こうやって過ごす時間の中で、私の身に危険が迫っているなんて知る由もなかった。



それは突然やってきた。



会場から外に姿を見せた紀天ことAnsyalのドラマー憲は、
ファンに見つかって一部のファンに追いかけられてた。


ったく、もう無理してこっちに出てくるなんて馬鹿なんだから。

私の立場も考えなさいよっなんて内心毒づきながらも、
アイツの姿をとらえた私は、紀天の方へと行って、追いかけまわってるファンの前に立ちふさがる。




「憲さんを追っかけて何やってるの?
 ここは会場の近く。

 至って不思議じゃないわ。

 だけど貴方たちが、憲さんを追いかけてる場所は、
 貴方たちだけの場所じゃないわ。

 メンバーに迷惑をかけるようなことしないで」