「いらっしゃい。
どうぞ、こちらのお席へ」
誘導されたOLさんたちは、そのまま俺の隣に座って、各々にカクテルを注文していく。
JAZZの調べに包まれながら、ドリンクを飲み終えた頃再びドアが開く。
「おばあ様、ただいま。
茂さん、こんばんは。奥の部屋、お借りします」
店内に尊夜が入ってきた途端に、
店内の女性客が、黄色い声をあげる。
そんな女性客たちの間を笑顔を振りまきながら通過して、
俺の傍まで来ると、尊夜は奥の部屋に来るようにと指で合図を送ってきた。
尊夜の後ろをついて歩く二人。
奥の部屋へと全員が入ると、
内側からカチャリと鍵をかける尊夜。
「亀城託実くんと、宮向井隆雪くん。
紀天も覚えてるかい?」
ソファーに座った途端に、会話をきりだす尊夜。
「あぁ、覚えてる。
亀城と宮向井を呼んでどうしたんだ?」
「スタジオでボイトレした後この間、バンドに誘われたんだ。
オレたちがRapunzelを脱退したことは、仲間内では広がってるみたいでさ」
「それで……お前は、一緒にすることにしたのか?」
「一年間はサポートで、オレの時間が会う時だけ。
今は瑠璃垣の方が今は忙しい。
あの場所で、オレのポジションも後継者として確立させないといけないから」
そう言って尊夜は想いを口にする。
「それで……廣瀬先輩はどうですか?
学院祭の時みたいに、もう一度俺たちとやって貰えませんか?」
真っ直ぐに俺を見据えて力強く告げるのは、宮向井。
「あの頃よりは、俺もベース上手くなったんですよ」
俺を迎え入れようと、言葉を続ける亀城。