受験勉強も何もしてなかったのに、
突如自分の未来を変えたこの日以来、
私の未来は変わった。
何か一芸に秀でたもののみが入学を学費免除で許される神前悧羅。
私が入学を許されたのは母が勧めてくれた水泳だった。
幼稚園を一年生として暫く続く寮生活。
共学とは名ばかりの男女別校舎のその学校。
それでもそれぞれの時間を過ごしながら、
互いの名前をそれぞれに聞くようになっていた。
泣き虫だった紀天は何時しか、
神前悧羅のバスケ部で有名になって私もまた水泳部の活動に力を入れて名前を残していった。
一緒に居るのが普通すぎてこの『好き』って思う感情が自分の中でも、
わからないほどぐちゃくぢゃになったまま時間だけが過ぎる。
寮生活期間が過ぎて高校生になった頃、
私たちは互いの家から通い続けるようになった。
その時、紀天の家で継母として紀天を迎えたのは、
咲空良おばさんだった。
心【しずか】おばさんが亡くなった後、
ずっと睦樹おじさんと紀天を支えてきたそんな人だから……、
紀天に新しいお母さんが出来たことも私も笑って祝福できた。
高校生となった私たち。
神前悧羅学院の独特のシステムで悧羅校の生徒は中等部課程を終えた時点で、
はじめて寮生活を終えて自宅からの通学が許されるようになる。
HBW【ハウス ブレイン ワーク】制度と言う先輩が後輩を面倒見て、
指導していく神前悧羅独特のシステムは続くものの、
登下校だけは一緒に出来るようになると思ってた私も願いは紀天の一言で崩れてしまう。
中等課程を卒業した春休み。
我が家を訪ねてきた紀天は、
手にスポーツバッグを抱えてた。
『紀天、どうしたの?
今から旅行?』



