今思えば不思議な呼び方なんだけど、
当時から咲空良さんと呼びなれてしまってる私たち家族には今更関係なかった。
ゆっくりとアルバムをめくっていくと、
そんな紀天にとっての大切なお母さん二人とウチの母が調子に乗って作っていただろう、
寝相アートなるコレクションが連なりはじめる。
ピンクのマントを羽織らされた私。
真っ黒なマントを羽織らされたアイツ。
ピンクのマントの手の先には沢山の風船が描かれた敷毛布。
真っ黒なマントを羽織らされたアイツの手には悪魔の杖。
悪魔の杖を持ちながら満面の笑みを浮かべて眠るアイツ。
似合わなすぎるだろ。
この寝相アート。
思わずアルバムをめくる手を止めて突っ込む。
物心ついた時から、アイツは泣き虫で、
一カ月早く生まれた私はお姉さんなわけでアイツに喝を入れるのが役割だった。
走っている時に転んで大声でなくアイツの傍にツカツカと走り寄っては、
アイツの両頬を右手と左手でバシっと挟むように叩く。
『紀【あき】くんは、男の子なんだから泣いたら、メッ』
ずっとそうやって言いながら、
打ち付けた痛みで私も痛かった。
アイツを守りたい。
だから強くなりたい……。
強くなりたい……。
そう言った私に何を思ったか私の母さんは水泳を習わせた。
今だからこそ、なんで水泳よ?って突っ込みどころ満載だけど、
その時の私は純粋で必死にスイミングスクールで泳いでた。
っと言っても、幼児教室だけどね。
だけどそれが功を成した。
幼稚園。
アイツも私と同じ公立に行くと思ってたのに、
心【しずか】おばさんたちが告げたのはアイツは、
睦樹【むつき】おじさんの母校である神前悧羅学院【こうさきりらがくいん】に行くってこと。



