美味しいラーメンのオーダーで連れて行かれたのは、
初めて行くお店。


パスタの麺で作るラーメンを初めて食べ終えて、
私たちは、歩きなれた我が家までの道程を歩いていく。


私のマンションまで戻ってアイツが淹れてくれた、
珈琲を飲みながら、私はアルバムを取り出す。




「あっ、悪い。
 朝、少し見せて貰った」



そう言うアルバムをテーブルにドンと広げて、
私は順番に繰りはじめる。



このアルバムの中には、私たち二人の沢山の思い出が詰まってる。




「晃穂……ずっと考えてた。
 俺はお前と一緒にいたい。

 けど……お前が俺絡みの何かに巻き込まれるのだけは絶対に嫌だ。

 俺も……今まで以上に、行動に責任を持つ努力をするから、
 お前も何もあったら、俺に連絡してほしい。

 晃穂だけは、俺が守りたいから」



アルバムをめくってる私の隣、アイツはゆっくりと言い聞かせるように呟く。



守りたい。
そう言ってくれただけで、私は充分だよ。

アイツは……紀天は、想い通りに突っ走って欲しいって願ってる。


そりゃ、振り回されて大変な時もあるけど
どんなに大変でも、輝いてるアイツを一番近くで見ていたいから。

そんなアイツに何度も何度も恋に落ちたいから。



アイツの生き方と私の生きる場所。



出逢ったときから……
多分、そんな星の元に生まれてた。


そんな風に思えると、少しは可愛らしい私になれるのかな?



「守りたいって……何言ってんのよ。
 泣き虫のアンタをずっと守ってたの私だよ。

 アンタが私を守ろうなんて、100万光年早いんだから。

 それより明日から仕事でしょ。
 ほらっ、もう帰らないと……」



相変わらず可愛くない私の憎まれ口。


珈琲を飲み終わったタイミングで、
アイツを送りだす私。


渋々、帰って行ったアイツの背中が消えるのを見届けて
私は家の中へと入って、鍵をかける。



そしてアルバムの続きを黙ってめくる。



だけど……有難う。
でも……気張らないで。





アルバムの続きをめくりながら、
アルバムの中のアイツに、小さく呟いた。