お前に見惚れてたなんて……
面と向かって言えるわけねぇだろ。


「もう、罰として紀天のパンも貰いっ」


そう言うのと同時に、ヒョイとアイツの手は伸びて
俺の皿から、重さん特製のミニクロワッサンが奪われる。


そんなミニクロワッサンも、美味しそうに頬ばる晃穂。


そんなアイツをもう一度見つめた後、仕返しとばかりに
アイツのお皿に残ってた、ベーコンエピを摘まんで口の中に放り込んだ。



アイツが美味しそうに食べるのはわかる気がする。
何時食べても、重さんのパンは上手いんだよな。




重さんのパンと同時に、アイツが朝から作ってくれた朝食を全て平らげると
ゆっくりと両手をあわせて「ごちそうさまでした」っと声を出す。


「宜しくおあがり紀天。
 さっ、私は食べ終わったー。ごちそうさまでした」

「宜しくおあがり晃穂」



いつもの様にお互いに、決まり文句を言い終えると
アイツは鞄を引き寄せて、ノートパソコンを起動する。



「仕事か?」

「仕事って言うか、私の日課」




そう言いながら、晃穂は次から次へとキーボードをタイピングして、
マウスをクリックしていく。


そんなアイツの作業を見守りながら、
俺は朝食の後片付けを流しで終えて、アイツが居る
リビングの床へと腰を下ろす。


ふと視線を向けると、そこには懐かしいアルバムが顔を覗かせる。



ガラス戸を開けて、分厚いアルバムを引っ張り出すと
生まれたばかりの懐かしい、俺とアイツの恥ずかしい写真が
次から次へと貼り付けられている。



お風呂上り、素っ裸で哺乳瓶を口にしてご機嫌なアイツ。

既に哺乳瓶の中身を飲み切って、
ポイっと放り投げた後らしい俺。




ったく……こんな写真、晃穂のアルバムにまで
貼らせるなってんだよ。