君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】



「お疲れ様でした」


ツアー最終日。
打ち上げを終えて会場を後にする。


「んじゃ、お疲れさん。
 雪貴、帰るぞ。

 祈も乗ってくか?」

「有難うございます。

 託実さん、僕は大丈夫です。
 明日の朝一の新幹線で、福岡に飛んで家族と合流します」

「そうかっ……」

「お疲れ様でした。お先に失礼します」


祈を会場前から見送った後、「紀天、行こうか?」っと言う、
十夜の声に「あぁ」っと頷いた。


歩き出した先には、真っ白な大きなリムジンが滑り込む。




停車したリムジンの後部座席を開けると、
アイツは車内へと身を滑らせ、俺もそれに続く。


「これから瑠璃垣の仕事か?」

「まぁな。
 二足の草鞋させて貰ってるからな」

「二足って、お前三足だろ。
 そろそろ体、一つしかないこと自覚しろよ」


「やりたいことが沢山あるんだ。仕方ないだろ。

 それに勝手なことさせて貰ってるんだ。
 こっちの仕事も、きっちりとやっておかないとな。

 早朝、オレは香港支社に発つ。
 三日後に日本に戻るから、その時に空港まで迎えに来てくれ。

 それまでは、紀天は休暇でも満喫してろ」



そう言う十夜。



「俺も行くよ」

「過保護もたいがいにしろよ。

 そんなんじゃ、晃穂ちゃん何時までたっても捕まえらんないだろ。
 だから女心、わかってないって言うんだよ。 
 
 それに今回は、紀天が香港に来ても出来る仕事はない。

 だから日本に置いてく。
 帰ってくるまでに、晃穂ちゃんと会って来いって。

 ……姉ちゃんなんだろ……」



さり気なく、アイツが呟いた言葉がこんなにも嬉しくさせる。